2023-02-07 04:44 PM
Archicadの新機能であるDesign Checkerは、ユーザーが設計中にArchicad内でエラーを確認するための使いやすいモデルチェック機能です。Nemetschek社の関連企業Solibri社が開発したSolibri Insideというクラウドサービスを活用し、Archicadユーザーに「BIMスペルチェッカー」のような統合設計品質保証ソリューションを提供します。設計プロセスのどの段階でも、この機能を使用して、設計モデルの形状とデータの品質を検証し、向上させることができます。
初期リリースではDesign Checkerは英語版のみで、他の言語はSolibri Insideのクラウドサービスが翻訳され次第、順次ローカライズされる予定です。
Design Checkerは、個別にダウンロードする必要はありません。
この機能にはArchicad 26 Update 2(製造番号 4019)以降が必要で、対応するすべてのオペレーティングシステムで利用可能です。
注記:Design Checkerは、ForwardおよびSSAのユーザーのみご利用いただけます。
Design Checkerは、Archicadユーザーにとって多くのメリットがあります。
Design Checkerは、メニューから[デザイン]→[モデルチェック]→[Design Checker]コマンドを選択すると起動します。Design Checkerパレットが開き、縦にドッキングすることも可能です。パレットには、使用可能なデザインチェックのリストが表示されます。
パレット下部の[モデル設定]パネルでは、ビューを選択するか(この場合、そのビューの全ての要素がチェック対象になります)、チェックを実行する要素を選択することができます。また、クラウドサービスSolibri Insideへのデータエクスポートに使用するIFC変換設定を指定する必要があります。このためには、「IFC4 Reference Viewエクスポート」変換設定の使用をお勧めします。また、IFC2x3トランスレータを使用している場合は、[形状変換]ダイアログの[マテリアル保持モード(IFC2x3のみ)]フィールドが[要素を分解しない、マテリアルの保持は保証されません]オプションに設定されていることを確認してください。
いずれかのチェック項目をクリックすると、そのチェック項目が実行されます。このとき、Design Checkerはチェックに必要なデータを生成し、Solibri Insideのクラウドサーバに送り、そこでモデルのチェック作業を行います。完了すると結果がダウンロードされ、検出された問題と関連する要素がパレットに表示されます。チェックで検出された要素の選択をモデル内で行うことができるので、Design Checkerで見つかった問題を素早く可視化し、修正できます。あるいは、Archicadの案件オーガナイザで案件を作成し、後で処理することもできます。
初期リリースでは、以下のチェックが可能です。
1.Window Operability Check
このチェックを実行すると、プロジェクト内の窓とその全てのパネルが操作可能であり、窓の幅、高さ、開口部の向きに基づいて必要な分を開くことか可能かどうかを確認できます。これにより、決まった障害物によって操作スペースが遮られることがなくなります。
2.Fire Exit and Entrance Doors Clearance Check
このチェックを実行すると、プロジェクトで非常口または出入口として使用されているドアのクリアランスボックス(最小間隔)に要素がなく、両側に適切なクリアランスがあり、火災安全性とアクセス性の要件を満たしていることを確認できます。
3.Door Operability Check
このチェックを実行すると、プロジェクト内のドアが、ドアの幅、高さ、開口部の向きに基づいて必要なだけ開くかどうかを確認できます。これにより、決まった障害物によって操作スペースが遮られることがなくなります。
4.Properties Check
このチェックを実行すると、モデル内の壁、ドア、窓、柱、梁、スラブが特定のプロパティ値( 耐火等級や 音響等級など)を満たしているかを確認できます。
5.Name and Global ID Check
このチェックを実行すると、モデル内のすべてのビルディング要素に名前(「ID」フィールド)が入力されており、それらにグローバルIDがあるかどうかを確認できます。
チェックを実行すると、パレットは問題が見つからなかったことを通知するか、見つかった問題のタイプと関連する要素をリストし、簡単に選択して処理できるようにします。以下の画像では、「Properties Check」の結果、多くの要素で「耐火等級」プロパティを含む基本プロパティのいくつかが「未定義」に設定されていることが確認されています。
「ハンバーガー」メニューでチェックのリストに戻ると、パレットの一番上に前回のチェックの結果が表示されます。
Solibri社では、Design Checkerに含める新たなチェック項目を継続的にリリースしています。リリースされると、新しいチェック項目はパレットで使用できるチェックのリストに自動的に追加されます。
パレット左上の「ハンバーガー」メニューからSolibri Inside EditorのWebページにアクセスし、この機能で提供されるさまざまなチェック項目を確認することができます。
チェック項目をクリックすると、そのチェックを構成する個々のルールが表示されます。また、ルールをクリックすると、そのルールがどのように構成されているかを示す別のWebページに移動します。
Design Checkerには複数のバージョンがあります。
このバージョンでは、事前定義されたチェックを実行することにより、モデルのエラーを検出して修正することができます。モデル内のチェックで検出された要素を選択し、その要素に対する案件を作成することができます。また、以前に実行したチェックの結果を表示したり、再実行することも可能です。
このバージョンでは、フリーミアム版にいくつかの機能が追加されています。Solibri Cloudサービスに登録するとパレットからサービスにログインでき、事前定義されたチェック全てと、それらを構成するルール、適用される要素タイプ(ターゲット)を確認することができます。また、ルールの演算子を変更し、後で使用するためにその変更内容を保存することもできます。
また、Solibri社は、より高度な機能をお客様に提供するプレミアム版のクラウドサービスも用意しています。
パレットからSolibri Insideにログインしてパレット上部の[アップグレード]ボタンをクリックすると、Solibri InsideのWebサイトに移動し、追加情報の入手や本機能のプレミアム版への加入を行うことができます。[アップグレード]ボタンは、Solibri InsideのWebサイト(左上の「ハンバーガー」メニューからアクセス可能)で登録後、パレットからご自身のアカウントにログインすると表示されます。
次の表は、3つのバージョンそれぞれの特徴と機能、およびその違いを示しています。
特徴 | フリーミアム |
登録によるフリーミアム |
プレミアム |
事前定義されたチェックの実行 |
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モデル内のチェックで検出された要素の選択 |
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チェックで検出された要素から案件を作成 |
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チェックの再実行 |
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以前に実行したチェックの結果を表示 |
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パレットからSolibri Inside EditorのWebサイトにログイン |
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事前定義されたチェック、ルール、ターゲットの内容を表示 |
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事前定義されたルールの演算子の変更 |
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チェック、ルール、ターゲット、ラベルの新規作成 |
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事前定義されたチェック、ルール、ターゲット、ラベルの複製と変更 |
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全てのチェック、ルール、ターゲット、ラベルを設計チームと共有 |
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