2024-06-20 09:40 PM - 編集済み 2024-06-21 12:33 AM
※本記事は、旧サイト「How to use Archicad」より、Yutaro Kijimaさん の2019年11月26日の記事を転載しています。
複雑な敷地条件や、申請時の正確な計算表の作成は、専用のアドオンソフトにお任せするとして、今回は簡易な方法で建物高さや後退距離等を天空率で検討する方法を記したいと思います。
※天空率の計算方法等については一般書籍をご覧ください。結果が期待通りにならない場合がありますので予めご了承ください。
測点位置、適合建物の位置、高さを求めておきます。
1階平面図で入力するので、1FLの高度を0としておきます。
計画建物は建物のみ、適合建物は適合建物のみ、合成は計画と適合建物を表示できるように設定します。建物を作成する段階では「合成レイヤーセット」に設定して作業を進めます。
「参照機能」でワークシートを下絵に表示します。道路と敷地が平行な場合は、適合建物は直線で済むので壁ツールを使用します。道路と敷地の角度によっては、奥行のある立体を作成する必要がありますので、そのような場合はメッシュやモルフ等を使って適合建物を作成します。※道路や敷地も作成しておくと視覚的にわかりやすくなります。
形状や高さを検討しやすいスラブで入力します。
「オブジェクトツール」の1.5特殊形状¥自由形状¥ドームを使います。天空率での球のサイズは不問ですが、今回は半径2000、厚さ0で入力します。測点は一番左側に配置します。
「適合建物レイヤーセット」に変更し、ドーム中心と適合建物を結ぶ三角形(まずは平面的に)を図形作成法:ポリゴンに設定して作成します。3Dを表示し、適合建物の高さに合せて、「ペットパレット:辺をオフセット」を使って調整します。
「デザイン」→「ソリッド編集」を開きます。モルフ図形を選択し「ターゲット要素を取得」をクリック、選択を解除後、ドームを選択し「オペレータ要素を取得」をクリックし、「操作を選択:下方向へ減算」選び、実行します。これによって、ドーム下側のモルフ面がカットされます。
「計画建物レイヤーセット」に変更し、適合建物同様にドームと計画建物の各点を結ぶ三角形を作成し、ソリッド編集を行います。※測点によっては隠れた面を描くことになりますが、全ての測点を計測するため全ての面を作成します。
マジックワンドで認識させるため必要となります。
「適合建物レイヤーセット」に変更します。塗りつぶしツールを開き以下の設定を行います。「SPACE」を長押しして適合建物の正射影の形状が表示されたらクリックで確定します。入力された塗りつぶし図形を選択し、右クリック→「表示順序」→「表示順序を一番上に表示」に変更します。
※「オプション」→「プロジェクト設定」→「寸法」の面積計算の小数点を3位以上に設定すると計算精度が向上します。
他の測点も作成するため円と塗りつぶしを別の場所に移動コピーします(円も一緒にコピーすると天空率図になります)。コピーした後は元の位置の塗りつぶしだけ削除します。
「計画建物レイヤーセット」に変更し、適合建物同様の操作で正射影面積を作成します。
「合成レイヤーセット」に変更します。天空率は円の面積-正射影面積/円の面積ですが、単純に正射影面積での比較(計画建物<適合建物)でも確認出来ます。
矩形選択でツール、ドームを囲み、中心部をマウスでドラッグするとドームとモルフ形状の節点が移動出来ます。各測点にて11~13を繰り返し、天空率を比較します。※地盤や道路は移動しないようにレイヤーをロックしておきます。
最も不利な測点を確認し、その上でクリアランスに安全率をかけておき、その範囲にとどまるように設計を行っていけば天空率の本計算を行った際に、NGのリスクは軽減できると思います。