MEP Designerは、モデルベースの設計および建築設備の調整に新たな可能性をもたらします。MEPエンジニアと建築家のコラボレーションが向上することで、ワークフローがより効率的になり、全体の設計品質も向上します。本記事では、 MEP Designerの主要機能、対象ユーザー、実用的なメリット、およびライセンスモデルについて概説します。
MEP Designerとは?
MEP Designer (MEP = 機械、電気、配管) は、空調や配管を含む建築設備の設計に特化したソフトウェアソリューションです。直感的なツールを使い、MEPコンポーネントのモデリング、計算、ドキュメント作成が可能で、Archicad内だけでなくスタンドアロンアプリケーションとしても利用できます。このソフトウェアは、独立したMEP設計およびBIMワークフロー内での分野横断的なコラボレーションの両方に対応しています。
MEP Designerは誰が使用しますか?
MEP Designerは、建築設備工学をBIM計画プロセスに統合したい方全てを対象としています。例:
- 建築設計事務所
- MEPコンサルタント
- 多分野型設計事務所
- 総合計画およびプロジェクトコーディネーター
- 教育・研究機関
ArchicadからMEP Designerを開く
ArchicadでMEP Designerの機能を使用するには、作業環境プロファイルMEP Design 29を有効にしてください:
- オプション > 作業環境 > プロファイルの適用 > プロファイル: MEP Design 29
プロファイルを選択すると、ツールボックス、ツールバー、メニューが自動的にMEP計画のニーズに合わせて設定されます。
ライセンス
ライセンス形態に応じて、MEP Designerはスタンドアロン製品またはArchicadに統合された形で利用できます。MEP DesignerがArchicadに含まれている場合(例: Collaborateライセンスをお持ちの場合)、個別のインストールは不要です。
| MEP Designer | AC Collaborate | Perpetual | |
| MEPモデリング | Yes | Yes | Yes |
| 計算アドオン: ダクトサイズオプティマイザ&ハイドロニクスオプティマイザ | Yes | Yes | No |
機能
機能は3つの主な領域に分類されます:
モデリング
- ダクト、配管、ケーブルトレイ用MEP Designerツール(継手の自動接続が可能: エルボ、分岐、異径管など)
- サービスラインのルーティング機能（コンポーネントの自動配置）
- パラメトリックなMEP Designerライブラリ（例: パイプ、バルブ、機器などの接続可能な部品）
- 独自コンポーネントをHVAC接続対応のMEP部品として追加可能
- 分野や媒体ごとに視覚的・構造的に区別できるMEP Designerシステム属性
計算
- ダクトネットワークのシステムブラウザ（各区間の流量・速度計算が可能）
- 計算値に基づくダクトサイズ最適化
- MEP Designer要素と他モデル要素間の干渉検出
- BCF課題統合によるコラボレーションチーム間での干渉やコメントの共有
ドキュメント作成
- 3D MEP Designerモデルから2D図面(平面図、断面、ラベルなど)を作成
- 平面図や断面図でMEP Designerシステムカラーによるシステムのグラフィカルな区別
- 1つのプロジェクトで複数のシステムを個別の表示コントロールで同時表示
コラボレーションとデータ連携
MEP Designerは、分野横断型チームワークとオープンなデータ連携のために設計されています。既存のBIMワークフローにシームレスに組み込まれ、モデルベースによる調整や外部ソフトウェアとのデータ交換をサポートします:
- IFCエクスポート/インポートによるMEPエンジニアや計算用ソフトとのスムーズなデータ交換
- Revit互換性(RVT、RFAファイルをネイティブにサポートし、Revitモデルやコンテンツを直接統合可能)
- BIMcloud統合による多分野チームによる同時モデル編集
- BIMxサポートでインタラクティブ3Dモデルを使い建築設備の確認・提案が可能—MEP Designer要素およびそのプロパティがBIMxモデル内で閲覧可能
- ローカルメーカー向けAPIアクセス(MEP API)—各地の計算要件に合わせた独自アドオンの開発・配布が可能
