2021-10-12 07:00 PM - 編集済み 2022-07-28 02:29 PM
建築家と構造エンジニアやMEP(機械・電気・配管)エンジニアとの間でコラボレーションをスムーズに行うことは、双方向のやり取りが必要なため、決して容易なものではありません。
建築家とエンジニアにシームレスに共同作業していただくため、Archicadは、コラボレーションのプロセスを改善し、設計ミスの可能性を低減することができるような、コラボレーションに適した環境を提供しています。Archicad 25で新たに改善された構造解析モデルをご紹介します。何が新しいのか見てみましょう!
れまでArchicadでは荷重を理解し扱うことができなかったため、構造エンジニアは建築家との双方向のコラボレーションの際に荷重を作成しなおする必要がありました:これは作業時間や間違いの可能性を増やすだけでなく、重大な情報の損失につながることもありました。
今回、構造解析モデルにおいて荷重処理 と荷重 関連データ がサポートされたことにより、建築家と構造エンジニアはデータを損失することなしに共同作業することが可能になりました。荷重に関連するすべての情報がBIMモデル内に保持されるため、構造エンジニアが選択する解析ソフトウェアにおいてのみならず、Archicadにおいても常にこれらの情報にアクセスできます。Archicadが認識できない荷重データであっても、SAFベースのやり取りにおいてはデータが保持されているため、SAFファイルを構造解析プログラムに再度インポートした場合においてもデータは失われません。
この新しい機能により、構造エンジニアは以下のことが可能になります:
荷重に関する作業環境
事前に定義した構造エンジニアリング作業環境プロファイルを使用することが可能です。そのツールボックスと[構造エンジニアリング]ツールバーには、3つの新しい荷重ツールを含む、構造要素用のダイアログとツールが含まれています。次の手順に従って、構造工学プロファイルを適用できます:
オプション]→[作業環境]→[プロファイルを適用]→[構造エンジニアリングプロファイル 25]
さらに、Archicad 25では4つの新しいダイアログがご利用いただけます:
構造解析モデルにおける一貫性は、どのような構造解析を行う場合においても必要不可欠です。こうした一貫性を確保するために、要求されるレベルの正確性を得るためのワークアラウンド(回避策)がエンジニアには必要になる場合がよくあります。
Archicadの梁または柱に対してはさまざまな断面(例:テーパー形状あるいは複数セグメント形状)を使用することが可能
ですが、構造解析モデルにおいてはこのような要素はユーザーが定義した置換断面形状をもとに、1つの1D部材のみを生成します。
Archicad 25では、この置換断面形状断面形状における形状の制御性が向上しています。建築モデルを最大限に反映することができるよう、部材の参照線を揃えるために断面 形状の9つの点 からいずれかを選択します。
設計は複雑さを増しており、そうした複雑さを反映する正確な解析モデルを維持することがさらに難しくなってきます。
調整ルール は、構造解析に不可欠な構造解析モデルの一貫性を確保するのに役立ちます。Archicad 25では新しい方法によりオフセットアジャスタ が改善され、より複雑な構造に適応しており
、構造エンジニアができるだけ多くの現実的なシナリオを制御することを可能にします。
柱から梁へのオフセットが必要な場合:
以下の3つの新しいオプションが提供されます:
• 1D部材の辺にオフセット
• 部材の交差部分にオフセット
• 1D部材に対して垂直
柱から壁へのオフセットが必要な場合:
以下の3つの新しいオプションが提供されます:
• 2D部材の辺にオフセット
• 2D部材の交差部にオフセット
• 2D部材に対して垂直
この機能向上によりエンジニアは解析モデルを作成する必要がなくなるため、エンジニアが解析モデルの作成と調整にかける時間を低減する手助けとなります。この機能はほとんどすべての設計シナリオをより高い精度で網羅する能力を備えています
モデルが複雑になるにつれ、そうした複雑さを再現した解析モデルの修正がより難しくなってきます。
そこで、機能が向上した「縮小 」を用いて時間を節約しましょう。この機能では、2D部材の重なり部分を削除することができるようになりました。これにより、より現実的な構造解析モデルの提供を可能にし、モデルチェック時に修正する必要のあるエラーも少なくなります。
構造エンジニアには、解析モデルの調整方法に対する完全な制御と、これを達成するためのカスタムオプション
が必要になります。
以前の調整ルールでは、ストレッチアジャスタは要素間において躯体が接続されている場合にのみ機能しました。躯体が接続されていない場合、ユーザーは正しく調整されたモデルを得るために、解析軸を定義可能な接続範囲内において延長することができます。
設計者の意図や実際の
要素形状をよりよく再現するために、この接続範囲機能が改善されました。
ユーザーは、以下の2つの長さパラメータを定義する必要があります:
構造サポートはArchicad 24から利用可能になった既存のツールです。Archicad 25では、構造サポートを選択された要素に一度に配置することが可能になりました。この機能は、構造サポートを自動的に配置することにより時間を節約できます。必要なすべての要素を選択した後、[デザイン]→[構造エンジニアリングツール]→[構造サポート] から実行できます。すべての構造サポートは選択された要素において配置されます。
構造サポートは、[デザイン]→[構造エンジニアリングツール]>[構造サポート]から、もしくは「ツール - 構造エンジニアリング」ツールバーのショートカットから作成できます。
一般的に、構造エンジニアは1つ以上のアプリケーションを使用します。SAFファイル互換のアプリケーションはいくつか存在し、それぞれ異なるバージョンのSAFファイルをインポートすることが可能であるため、すべてのSAFファイル互換アプリケーションの間におけるシームレスな相互運用性が不可欠となります。
SAFスキームは変化の激しい標準であるため、Archicadはすべて
の他社製ソフトウェアとの正確なデータのやり取りを保証するため、すべての機能向上に追随しています。
•SAFエクスポート時に新しいSAFバージョンのピッカーを使用し、自身が使用する解析
プログラムの能力と合致するよう、エクスポートされるファイルを最適化します。
•SAFをインポートする際にArchicadはすべてのSAFバージョンをインポートできるため、ピッカーが必要ありません。
後方互換性と公開されたすべてのSAFフォーマットのサポートにより、関連するすべての構造用ソリューションにおいて正確なデータ交換をおこなうことができます。インポート可能なSAFファイルのバージョンとは無関係に、すべてのSAF互換構造アプリケーションにおけるシームレスな相互運用性を保証します。
Archicad 25が提供する新しい機能は、構造解析モデルに対するさらなる制御を提供し、高いレベルの精度を維持しながら、機能性とコラボレーションを向上させます。時間を節約できるこのワークフローにより、モデル確認のエラー数を低減し、より正確なモデルの作成環境を提供します。
Archicad 25の全ての新しいコラボレーション機能について学びましょう:
Archicad 25の全ての新機能の詳細については、こちらの記事をお読みください。
Archicadの構造解析モデルの詳細については、こちらの記事をご覧ください。