2021-10-12 07:00 PM
ハードウェアアクセラレーション機能を完全に利用するには、OpenGL 4.5互換グラフィックカードで、専用メモリ2GB以上が推奨されます。
以下のグラフィックカードのレガシーシリーズは推奨されません。
グラフィックカードは、ハードウェアの製造販売業社/サプライヤーによるドライバ(システムが搭載するドライバではなく)が正しくインストールされている場合にのみ適切に動作します。以前インストールされたものが残っている場合、現在のドライバのインストールと干渉を起こす場合があります。以下に示すドライバにより表示に問題が発生した場合は、このドライバを再度「クリーンインストール」して下さい。「クリーンインストール」とは、新しいドライバをインストールする前に以前のすべてのドライバファイルを削除することを意味します。NvidiaとAMDの両社とも、ドライバのインストーラーにおいて「クリーンインストール」のオプションを提供しています。あまりない事案ですが、製造販売業社によるアンインストール操作が行えない場合には、AMD社のAMDクリーンインストールユーティリティや、サードパーティ社製のDriver Cleaner、Driver Fusion のようなツール、もしくはゲーム愛好家コミュニティで人気のあるDDU Display Driver Uninstallerといったいくつかのツールが役に立つ場合があります。ただしこれらのツールは、問題解決のための最後の手段としてのみ使用するようにして下さい。
一般的に、グラフィックカードの製造販売業社には「ゲーマー」と「プロのコンテンツ作成ユーザー」をターゲットにした、異なる製品ラインがあります。どちらのカードもハードウェアの構成については非常に似たものですが、ファームウェアとドライバに関してはこれらの間に大きな違いがあります。「ゲーマー」カード(NvidiaGeForceやAMD / ATI Radeonなど)は、画質/精度よりも速度が重要な3Dゲーム用に最適化されています。通常、ゲーム内の3Dモデルは少ないポリゴン数のモデルにテクスチャが適用されたものですが、CADモデル内ではポリゴン数が大きく、またナビゲーション時のスピードよりもワイヤーフレームあるいはシェーディング表示のモデル静止画像の方がより重要になります。また、プロ用のカードのメモリ使用は複数のアプリケーションウインドウを使用することに最適化されていますが、これはゲーム用カードにおいては重要ではありません。2つの製品ラインの間にあるもう一つ重要な違いは、これらのカードの提供とサポートされる方法にあります。プロ用カード(Nvidia QuadroやAMD FireProなど)は半導体メーカーの基準に従って製造されているため、半導体メーカー(例:NvidiaあるいはAMD)により提供されるドライバが自分のカードに常に適合するかについて信用することができます。ゲーム用カード(ASUSやSaphire、Gigabyte、PNYなど)の製造業者は半導体メーカーの基準から逸脱する場合があると共に、製品のライフサイクルとドライバの公開サイクルがゲーム用カードの場合、より短いものになっています。GRAPHISOFTは、次のメーカーと以下の点において連携しています。
Nvidia社とAMD社は両社とも、ノートパソコン専用グラフィックカードに対するドライバのサポートを提供しています。現在でも、独自のドライバサポートを提供(特に過去のノートパソコン/サポート終了ノートパソコンに対して)しているノートパソコン製造販売業者があります。このようなノートパソコンで表示上問題が発生しており、メーカーがドライバのアップデートを提供していない場合には、自分の責任においてではありますが、デスクトップパソコン向けのドライバをノートパソコン用に微調整してみることは可能です。ただしこの方法はノートパソコンのサプライヤーからは明らかに推奨されない方法である点には留意して下さい:FLEM ATI Radeon Legacy Modder/Nvidia legacy laptop drivers
など。最近では、ノートパソコン製造販売業者は通常、半導体メーカーにより提供される標準ドライバを使用しています。
デスクトップパソコンと比較すると多少性能が落ちますが、Nvidia QuadroやRadeon Proといった、ワークステーションクラスのノートパソコン向けプロ用カードが利用可能ですまた、Nvidia社のほとんどの専用GeForceカードが良い性能を発揮し、AMD/ATI社製カードは中程度の性能を、またオンボード(統合型)のIntel社製グラフィックカードでは非常に悪い性能となることを確認しています。現時点では後者の使用は明確に避けるべきと思われます。統合型グラフィックカード(iGPU)については、性能の点では次第に改善されてきていますが、Archicadのような3D性能の必要性が高いアプリケーションに対してはかなり性能が劣る状況にあります。現時点では、統合型グラフィックスカートの中で比較すると、AMD社のRyzenプロセッサと統合されたVega 10およびVega 8グラフィックプロセッサが、その他のiGPUソリューションよりも、優れた性能を示しており、Nvidia社の専用GPU製品ラインのローエンド製品(MXシリーズ)と同等の性能を発揮することがわかっています。
一般的に、スムーズな3Dナビゲーションのためには30フレーム/秒の性能があれば必要十分であり、60フレーム/秒になると非常に素早い動きについても動きが非常に滑らかになることが知られています。
フレームレートは、どのグラフィックカードを購入するかという点において一般的な指標になります。より具体的に言うと、スムーズなナビゲーションを得られることが想定される最高のフレームレートは、モニターのリフレッシュレートと直接的な関係があるということです。リフレッシュレートとは、モニターが表示画像を1秒の間にアップデートする数のことです。グラフィックカードがモニターのリフレッシュレートよりも速く表示画像を送信している場合は動作の滑らかさは向上せず、逆に視認可能なノイズが発生する可能性があります(画面ティアリング)。こうした副作用を避けるために、ほとんどのグラフィックカードのドライバはフレームレートをモニターのリフレッシュレートに固定するよう垂直同期オプション(V-sync)をデフォルトでオンにしており、Archicadはこの機能を3Dナビゲーションで利用しています。
ほとんどのモニターは、60フレーム/秒を意味する60Mhzの固定リフレッシュレートを備えています。特にArchicadのナビゲーションに関しては、こうしたモニターはスムーズな3Dナビゲーションを提供する上で十分以上の性能を備えていると言えます。これよりも高いリフレッシュレートのモニターはほとんどの場合、ギクシャク感やティアリング、モーションブラーなどのない、極度に速いペースでのゲームプレイが重要になるゲームユーザー向けのものです。
3Dナビゲーションにおいてグラフィックカードが30フレーム/秒から60フレーム/秒の平均的なフレームレートを提供できるようであれば、そのカードはArchicadでスムーズなナビゲーションを得るのに十分であると言えるでしょう。
少し問題が複雑になりますが、ここ数年の間にモニターにはNvidia社のG-SyncまたはAMD社のFreeSyncテクノロジーのいずれかが次々と組み込まれるようになっています。これらのテクノロジーは、グラフィックカードにより制御される可変リフレッシュレートをモニターに提供するものです。これらのテクノロジーの導入は主により高いフレームレートを求めているゲームユーザーを対象としていますが、これらのテクノロジーはいずれも3Dナビゲーションのフレームレートが低い場合(30フレーム/秒以下)にスムーズなナビゲーションを可能にする機能を提供しています。この機能は、スムーズさを高め、ジャダリングを避けるために追加のフレームをモニターに対してハードウェアレベルで適応的に挿入するアルゴリズムによって機能します。このテクノロジーがモニターとグラフィックカードによってサポートされている場合、低いフレームレートの場合でも(最低10フレーム/秒)、揺らぎのないスムーズなナビゲーションが得られる場合があります。
Archicad 25から、3Dグラフィックのハードウェアアクセラレーションに関してはMetal API がOpenGL の代わりに使用されています。Macではグラフィックカードが一緒に提供されている(いくつかのシリーズにおいて1つのオプション選択として)ため、またドライバがシステムアップデートとバンドルされているため、GraphisoftはMac向けに特定のカードあるいはドライバを推奨することができません。Apple社により認定され、macOS Mojave以降でMetalをサポートするグラフィックカードのリスト はこちらから確認できます。最高の性能を得るには、専用グラフィックカードを装備したMacを選択するようにします。Intel Iris統合チップとIntel HDカードはArchicadで動作しますが、性能はかなり制限されます。
Apple社は2020年に最初のApple ARMプロセッサ搭載Macを発表しました。その結果は、性能的にはローエンドからミッドエンドの専用グラフィックカードと同等のもので、メモリ不足によってのみ性能が制限されることを示しています。今年はApple社からさらに優れた性能のGPUが提供されることが想定されています。
macOS High Sierra 10.13.4で、macOSは外付けグラフィックプロセッサ(eGPU)をThunderbolt 3インターフェイスを通じて接続するための公式サポートを開始しました。より詳しい情報については、Apple社からこちらの記事により提供されています。eGPUはARMベースのデバイスではサポートされていません。
Graphisoftの予備的なテストによれば、統合型グラフィックカードを備え、処理速度とVRAMに制約のあるマシンに対してeGPUは非常に利用価値の高いソリューションになり得ることを示しています。外付けのUHDモニターを扱うための追加のVRAMを、簡単なセットアップで容易に利用し、追加のモニターを接続できるという可能性から、Intel Iris統合型グラフィックカードを備えたマシンは3D性能を向上させるこのソリューションから非常に大きな恩恵を得ることができます。ただ最近発売された外部分離グラフィックカード(dGPU)については、追加のモニターが必要でない場合はeGPUソリューションに切り替える価値はまだないかもしれません。これは、eGPUエンクロージャーの内部にあるグラフィックカードは、同じグラフィックカードをマシン内部のPCIeスロットで動作させた場合よりも大幅に性能が落ちるためです。より優れたGPUを外部に搭載することによって性能の向上が見込める可能性はありますが、ほとんどの場合、ここでの性能向上幅はアップグレードに見合ったものではありません。
今後Graphisoftは、eGPUのテストを拡大し、評価が完了した後に、いくつかのグラフィックカードに関する追加の情報を提供する予定です。
ここでは、標準構成のコンピューター上で異なるモニター解像度において動作させたグラフィックカードが、どの程度異なる性能を示したかについてまとめた結果を確認できます。この測定は、CPUのシングルスレッド性能値が2194であるコンピューターで行われました。各カードは、Windows 10 64 bit上で、小規模住宅プロジェクト(30,000ポリゴン)、高層ビルプロジェクト(1,300,000ポリゴン)、およびスタジアムプロジェクト(9,000,000ポリゴン)を用いてテストされました。フレームレート(フレーム/秒)は、Archicadの3Dウィンドウにおいてナビゲーションを行いながら測定されたグラフィックカードの速さを示します。
3Dナビゲーション性能に影響を与えるのは、グラフィックカードの処理性能とは別に様々な要因があります。コンピューターのプロセッサ(CPU)は3Dナビゲーション中に大きな役割を果たします。CPUはグラフィックカード(GPU)に対して、処理を行い表示するためのデータを送ります。CPUがGPUに対して十分な速さでデータを送れない場合、GPUの最大性能を利用することができません。このため強力なGPUに対しては、CPUのボトルネックを軽減するために、同様に強力なCPUを組み合わせることが重要です。なお、3Dナビゲーションはプロセッサのシングルコアを使用しています。そのため、CPU シングルスレッドパフォーマンスは、CPUのボトルネックを軽減するために重要です。
3Dナビゲーションの性能に影響を与えるもう一つ別の要因は、モニターの解像度です。解像度が高ければ高いほど、CPUへの負担も高まりますが、GPUへの負担はさらに高まります。解像度が高くなるとフレームがより大きくなり、その結果、より多くの処理が必要となることで、GPUが計算を終えるのにより長い時間がかかります。これが解像度が高くなると、速さ(フレームレート)落ちる理由です。
軽視されることが多いもう一つの側面は、グラフィックカードのメモリのサイズです。ファイルを開いて3Dでナビゲーションを行う際、グラフィックカードのメモリ(VRAM)が最初に使用され、これが足りなくなるとメインメモリ(RAM)が使用されます。3Dの操作に関しては、コンピューターのメモリはグラフィックカードの専用メモリ(VRAM)よりもかなり遅い点を理解することが重要です。この点から、3D操作のためにデータがコンピューターのメモリ(RAM)に保存される状況は回避すべきです。この状況が発生するのを避けるには、モデルを処理するのに十分なメモリ(VRAM)をグラフィックカードが確実に利用できる状態に保つ必要があります。どのくらいメモリが必要かを推測する経験則はありません。プロジェクトのファイルサイズとグラフィックカードのメモリ使用量の比較ができないためです。Archicadはポリゴンの座標によってではなく、オブジェクトのパラメータによってモデル情報を保存しています。このため多くのパラメータを備える巨大なファイルは、多くのメモリを占有する可能性があります。また一部の形状オブジェクトが高い解像度もしくは大量の分割に設定された場合、追加の負担が加わります。またモデル自体は数キロバイトであっても、大きなテクスチャを多数保持しているような超高解像度のモデルの場合、そのパラメータがグラフィックカードのメモリの大部分を使用し、速度の低下を引き起こす可能性があります。GRAPHISOFTでは、小規模から平均的な規模のプロジェクトについては2GBの専用メモリを推奨しますが、UHD解像度のモニターを使用し、大きく複雑なモデルを扱う場合には、グラフィックカードの専用メモリは少なくとのこの2倍である必要があります。
Archicad 25に関して、以下のグラフィックカードをテストしています。