1週間前 - 最終編集 1週間前
実務的には使えそうなものが多いながらやや地味め(?)の新機能が多い中、Archicad29アップデートの目玉(?)といえそうなAIアシスタントを実際に使ってみて気づいたことをまとめてみました。(AI Visualizerを別にすれば)AI本格導入一発目ということでまだ色々と不足はあるというのが率直な感想ですが、改善スピードも早そうですし、今後の機能充実に期待大!です。
1. どんなことに使えるか
これについては、現状では大きく分けて「①Archicad操作に関する質問に答える」「②建築法規に関する質問に答える」「③モデル要素のクエリ(抽出選択)」の3つが主な利用方法として開発されているようです(▽画像)。ただし、②に関しては正確に参照されているのは英国の法規だけで、日本の法規については現時点では未対応です。
ただ、①③については現状のヘルプや「検索と選択」機能と重複する(現状ではむしろそれらの従来ツールのほうが使いやすい😅?)ので、個人的にこの3つの中で最も今後の開発に期待するのはこの②です。将来的には、主要な法規に抵触する要素をAIが指摘して課題登録したり解決オプションを提示したりしてくれる、なんて機能が実装されたら実務的にはむちゃくちゃ助かると思います。
2. 使用言語について(日本語対応)
日本語版に実装されているので、当然日本語での対話には対応しており、AIの言葉遣いや文法も自然ではあるのですが、ユーザー側からの入力の理解(読取り)はChatGPTなどの汎用AIと比べるとまだまだなのでは?という感じです。また、こちらから日本語で質問したのに英語で答えてきたりということもあったり(英語が分かればあまり問題ないとはいえ)と、不安定なところがあるもののとりあえずリリース、という印象を受けました。
<具体例①:操作方法を聞いてみた>
今回のアップデートの中でMac用のダークモード切替えが可能になったので、その方法をまず日本語で「Mac用のダークモードに切り替えるには?」と聞いてみたところ、英語で「I am sorry, but swithing to dark mode on Mac is beyond my capabilities(すみません、Macでダークモードに切り替えるのは私の能力を超えています)」と返ってきました。
英語で返ってきたので英語で聞き直してみたらどうかと思い「How can I change the display to dark mode for Mac?(Macでディスプレイをダークモードに切り替えるにはどうしたらよいですか?)」と質問したら、今度は正確な回答が返ってきました(▽画像)。最初の日本語の質問がややラフだったので、もう少し正確に聞けば正しい答えが返ってきたのかもしれませんが、とりあえず日本語と英語の理解度にはまだギャップがあるようです。
<具体例② - 要素クエリ>
次の例は要素のクエリで日本語と英語の質問に対するAIの回答を比べてみたものです(▽画像)。
普通の要素検索なら「検索と選択」ツールを使えばよいので、ここではテクノロジープレビューのサンプルファイルを使ってモデル内のゾーンの数をサクッと教えてほしいと尋ねてみました。
まず日本語で「このモデル内にゾーンはいくつありますか?」と聞いてみたところ、直接「◯個です」と答えるのではなく、ゾーン数を調べる方法を答えてきました。場面が違えば役に立つ回答なのかもしれませんが、今回の質問意図に対する回答としては的外れですね。
次に、ちょっと言い方を変えて「モデル内のゾーン要素を全て選択して下さい」と聞いてみました。これなら実際は「検索と選択」を使ったほうが早そうですが、とりあえず実験ということで・・・ところが、これに対するAIの反応は「名前がmindであるゾーン要素を選択します」という謎の回答でした。元の質問文に「mind」やその日本語の訳語「心」などは含まれていないので、なぜそんな回答をしてきたのか全くの謎です🤔。
あまりのズレっぷりにちょっとイラッとしたので(笑)『「名前がmindであるゾーン」のことは聞いていません。ゾーンの数が知りたいんです』と反応してみたところ、「申し訳ありません。ゾーン要素の数を直接知ることはできません(以下略)」と答えてきました。
本当か?と思い、英語でシンプルに「Select all zone elements in the model(モデル内のゾーン要素を全て選んで)」と指示してみたところ、あっさり「Alright, I'll select all zone elements in the model(分かりました、モデル内のゾーン要素を全て選択しますね)」というよいお返事とともに「指定された条件に基づく選択要素の合計数は:17」と返してきました。やればできるんじゃん、という感じです😅。
長々と書きましたが、上の2つの例だけでも「現時点でのAIアシスタントの日本語理解にはかなりアヤシイところがある」というのは伝わるかと思います。カジュアルな自然言語でやり取りしてストレスがない、というのは実務でAIを使う際のポイントだと思いますので、この点で現時点での実用性には「?」が付きますが、汎用AIの進化スピードを見ているとこの問題は早晩解決されるとも思うので、改善状況を注視していきたいと思います。
長くなってしまったので、投稿を分けて「AC29テクノロジープレビュー:AIアシスタントを使ってみて(その2)」に続きます。